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エフォートコントロールで変わる推論設計 — Haiku 5.5 の5段階と「コスト×品質」の新しい調整軸

エフォートコントロールとは「同じモデルを何種類の計算量で動かすか」を選ぶ機構。2026年10月7日の Haiku 5.5 で初めて小型・高速クラスに解放され、マルチエージェント設計に「コスト×品質」の新しい調整軸が生まれました。

要点

  • ✓Anthropic が2026年10月7日にリリースした Claude Haiku 5.5 は Haiku クラス初のエフォートコントロール搭載モデル。Low / Med / High / Xhigh / Max の5段階を選べる(Anthropic「Introducing Claude Haiku 5.5」2026-10-07)
  • ✓エフォートは生成トークン量(計算量)に影響する——料金表上はエフォートレベルによる単価変動は示されておらず、入力 $0.10/M(≤100k tokens)が共通単価。Low は高速・省トークン、Max は高品質・多トークン
  • ✓Haiku 5.5 の価格は ≤100k トークンのリクエストで Haiku 4.5 比 約90%減($0.10/M input vs $1/M)。OSWorld 2.1 スコアは 15.7%→72.4% に大幅向上(同発表)
  • ✓Anthropic のガイダンス:短いツールタスク・大量処理には Low、大半の業務には Med(デフォルト)、長いエージェントタスクには High が推奨(Amazon Bedrock モデルカード / Anthropic ガイダンス 2026-10)
  • ✓Xhigh・Max は品質向上が期待できる一方、生成トークン量が大幅に増えるため自前の eval でゲインを確認してから使う設計が推奨される

Haiku 5.5 が解放した「計算量の設計軸」

2026年10月7日、Anthropic は Claude Haiku 5.5 をリリースしました。Haiku クラスの最新作であり、価格・速度・性能の全面刷新に加え、Haiku シリーズ初のエフォートコントロールを搭載したモデルです(Anthropic「Introducing Claude Haiku 5.5」2026-10-07)。

エフォートコントロールとは、モデルが応答に使う計算量(生成トークン量)を Low / Med / High / Xhigh / Max の5段階で選べる機能です。高いエフォートでは、モデルが応答前により深く考えます——思考ブロックに投じる計算量が増えるイメージです。Haiku 5.5 以前は、こうした調整軸は主に大型・上位モデルに設けられていました。

  • 価格: 入力 $0.10/M(≤100k tokens)/ 出力 $0.50/M。Haiku 4.5($1.00 / $5.00)比で ≤100k リクエストは約90%減
  • OSWorld 2.1(オフライン subset): 72.4%(Haiku 4.5 は 15.7%、GPT-6 Luna は 48.9%、Sonnet 5.5 は 83.9%)
  • 推奨用途: 要約・コンパクション・DB照会・分類・繰り返しタスク・ライブカスタマーサポート・サブエージェント役
  • 複雑なエージェントコーディングには非推奨: Sonnet 5.5 / Opus 5.5 が依然として優位

Low〜Max の5段階——コストと品質の両矢印

デフォルト(Med)Low短い高頻度タスクMed大半の業務High長いエージェントXhigheval で確認Maxeval で確認コスト・レイテンシ 大品質・正確さ 高入力 $0.10/M(≤100k tokens)— エフォートは per-token 単価でなく生成トークン量が変わるAnthropic「Introducing Claude Haiku 5.5」2026-10-07
デフォルトは Med。Low は短い高頻度タスクに最適でコスト最小・最速。High 以上は長いエージェントタスクや精度優先の場面。Xhigh・Max は品質向上が期待できる一方、生成トークン量が急増するため自前 eval による確認を推奨(Anthropic「Introducing Claude Haiku 5.5」2026-10-07)

(B) エフォートはコストの「種類」を変える

エフォートコントロールの設計を理解する上で重要なのは、エフォートは per-token 単価を変えないという点です。Haiku 5.5 の入力単価($0.10/M)はどのエフォートレベルを選んでも変わりません。変わるのは「どれだけトークンを生成するか」——すなわち計算量です。

Low では応答が素早く省トークンで返ってきます。Max では多くのトークンを費やして深く考えます。Artificial Analysis 社の独立ベンチマーク計測(agens の実績値ではありません)によれば、Max でのスイート実行トークン数は Low の約14倍という報告があります(Artificial Analysis、2026年10月)。同計測では Max で Intelligence Index スコアが 43、Low で 29 という差異も確認されています(同計測)。

この構造が意味するのは、「どのエフォートレベルを選ぶか」は本質的にコスト管理の設計判断だということです。要約や分類のように答えのパターンが決まりやすいタスクに Low を選べば、同じ予算でより多くのリクエストをさばけます。複雑な推論には High を選んで精度を優先する——これが設計上の基本的な発想です。

タスクの複雑度とエフォートのルーティング設計

タスク種別 → エフォートレベルのルーティング設計((B) 設計・一般論)要約・分類・照会短い高頻度タスクHaiku 5.5 @ Lowコスト最小・最速標準エージェント作業マルチステップ・自律Haiku 5.5 @ Medデフォルト構成複雑な推論・長い作業精度最優先タスクHaiku 5.5 @ Highまたは Sonnet 5.5 @ HighAnthropic ガイダンス(Amazon Bedrock モデルカード 2026-10)に基づく推奨構成 — agens の実績値ではありません
(B) タスクの複雑度に応じてエフォートレベルを変える設計の概念図。短い高頻度タスクは Low、大半の業務には Med(デフォルト)、長い複雑なタスクには High 以上——または Sonnet 5.5 へのルーティングを検討。Anthropic ガイダンス(Amazon Bedrock モデルカード 2026-10)に基づく。agens の実績値ではありません

(B) マルチエージェントへの設計示唆

エフォートコントロールが小型・高速モデルに解放されたことで、マルチエージェント設計に新しい次元が加わりました。従来、モデル選択は「速くて安い(Haiku 系)か、賢い(Opus/Sonnet 系)か」という1次元でした。エフォートコントロールが加わることで、モデル選択 × エフォートレベルの2次元設計空間が生まれます。

例えば、要約・DB照会・ルーティング判断など短いツールタスクをこなすサブエージェントには Haiku 5.5 @ Low を当てて最速・最安にする。同じ Haiku 5.5 に Med/High を割り当てることで、コストを抑えながらより長い作業もこなせる構成が取れます。そして最も複雑な推論が必要な部分だけを Sonnet 5.5 や Opus 5.5 に引き渡す——この振り分けの精度が、マルチエージェント全体のコスト効率を決めます。

Amazon Bedrock のモデルカード(2026-10)に記載された Anthropic のガイダンスによれば、短いツールタスク・大量処理リクエストには Low、大半の業務には Med(デフォルト)、長いエージェントタスクには High が推奨されています。Xhigh・Max は自前の eval で明確なゲインが確認できた場面にのみ使う設計が推奨です。

(A) agens での実装 / (C) 今後の方向性

(A) agens は Haiku 5.5 を含む複数モデルを活用可能です。スキル設定でサブエージェントに割り当てるモデルを制御でき、RBAC・監査ログ・操作の巻き戻しは Haiku 5.5 含むすべての実行に適用されます。(C) タスクの複雑度に基づくエフォートレベルの自動選択(コストと精度のバランス最適化)は、今後の設計検討方向の一つです。現在は設定での手動指定が基本となります。

よくある質問

エフォートコントロールと旧来の budget_tokens の関係は?
Haiku 5.5 では、旧来の thinking: { type: 'enabled', budget_tokens: N } 形式は廃止されています。エフォートは output_config で設定する方式に一元化され、budget_tokens を渡すと 400 エラーになります。エフォートコントロールが計算量調整の標準インターフェースになりました(Amazon Bedrock モデルカード 2026-10)。
Low エフォートは精度が低くて実用にならないのでは?
タスクの性質によります。要約・分類・DB照会・ルーティング判断など、答えのパターンが決まりやすいタスクでは Low でも十分な精度が得られます。Anthropic も「長いエージェントタスクでは Low は検索を省いたり後続ステップをスキップするケースがある」と注意しており、用途を自前で eval して判断することが推奨されます。
Max を常に使えば最高品質になりますか?
Max は品質が高い反面、生成トークン量が大幅に増えます。Artificial Analysis 社の独立計測(agens の実績値ではありません)では Max は Low の約14倍のトークンを消費しています。コストとレイテンシが急増するため、自前の eval で明確なゲインが確認できた場面に絞るのが設計上の推奨です。大半のタスクは Med が適切な出発点です。

最終更新: 2026-10-12